貸金業法は、例えばクレジットカード会社とか消費者金融会社などのカードローンサービスを提供している貸金業者を取り締まるための法律です。
今から30年くらい前の話ですが、複数の貸金業者からお金をめいっぱい借りてしまって、返済ができないような状態に陥っている人がたくさんいました。
これらの人々は多重債務者と称されています。
多重債務者に陥ると、借金をひとまとめにするおまとめローンを組んで、長期にわたって返済するという方法で立ち直る人たちも見受けられました。
ですが大半の人は借金が返済できない状態でした。
改正法により抜本的な対策が取られた貸金業法
裁判所に自己破産の申立をして、それが裁判所から免責許可されれば、もはや借金の返済の義務はありません。
自己破産をすれば生きることはできますが、あらゆる権利を剥奪されますので、人間らしい生活はできません。
このような悲惨な状況を救済するために考え出されたのが貸金業法です。
この法律は2010年に施行された改正法により抜本的な対策がとられるようになりました。
キーワードは総量規制と上限金利です。
総量規制とは
貸金業者から借り入れる金額は年収の1/3まで
総量規制とは一体どのようなものを指しているのでしょうか。
貸金業者から借り入れる金額は年収の1/3までと定められたのです。
もしもローン利用者の年収が300万円だったとすると、貸金業者から借りられるお金の上限が100万円ということになります。
それ以前は無制限でいくらでも貸金業者からお金を借りることができました。
このような状態で借金を重ねたあげく、返済ができないような多重債務者が日本全国に溢れたわけです。
総量規制の威力は抜群でしたが、それ以来多重債務者に陥る人が激減したということです。
複数の貸金業者からお金を借りる場合にも注意が必要です。
例えば一つの会社から50万円の借金をしたとします。
そうすると次の金融会社で借りられるお金の上限は50万円ということになります。
なぜならば年収が300万円ですから、その1/3の100万円までしかお金を借りることができないからです。
上限金利が制定される
次にもう一つ大きな法律改正がありました。
上限金利が制定されましたが、それまでは闇金融などの金利は青空天井でした。
場合によっては年率にして30%とか50%の金利を請求してくれるような闇金融会社もありました。
これでは返済不能になるのは当たり前のことです。
利息制限法
金利の上限の設定には二つの法律が関わっています。
一つ目は利息制限法ですが、利息制限法の規定によると、貸金業者が請求できる上限金利が、15%から20%となっています。
5%の幅があるのには理由があります。
貸付額に応じて変動するということです。
出資法
もう一つの法律が出資法ですが、出資法の規定によりますと、上限金利20%を超える金利で貸し付けた場合には、刑事罰の対象となります。
つまり闇金融が請求できる金利の上限が20%までに確定されたということになります。
その昔は利息制限法と出資法で規定される上限金利が違う状態でした。
利息制限法の上限に20%を超えたとしても、出資法の上限である29.2%を超えていなければ刑事罰が適用されなかったのです。
この20%から29.2%の間があの有名なグレーゾーン金利です。
それにしても二つの異なる法律の間で数字が違うということは大変な問題ではないでしょうか。
多分これは縦割り行政の弊害がもたらしたものであると推測することができます。
今では貸金業者が請求できる金利の上限は20%までと確定されました。
まとめ
貸付金利に関する法律が二つもあるというのは利用者側にとってはとても厄介でややこしいものです。
そこで法律の改定となりました。
出資法の上限金利がかつての29.2%から20%に引き下げられました。
その事によってグレーゾーン金利が撤廃されたのです。
現在の上限金利は利息制限法によって15%から20%と定められています。
20%を超えるような金利を請求する金融会社は刑事罰の対象となります。