金融商品取引法とは

金融

金融商品取引法とは、有価証券の発行や金融商品の取引を公正にすることなどを通じて、国民経済の発展と投資家の保護を図ることを目的に制定された国の法律です。
この法律そのものは証券取引法という名前で昭和の時代からすでにありましたが、2007年に現在の名前である金融商品取引法に改められました。

有価証券だけにターゲットを絞ってさまざまな規制を行ってきた

これまでの法律では有価証券だけにターゲットを絞ってさまざまな規制を行ってきましたが、改正後は広く金融商品や金融サービス全般について、包括的な規定を設けて投資家を保護するためのしくみづくりをすることを意図したものです。
我が国でも西暦2000年前後を中心に、国際的な金融改革の流れに呼応して、自由な市場競争を重んじる開かれた金融市場を構築する動き、いわゆる金融ビッグバンが取り沙汰されるようになりました。
このことによって、株式や外国為替証拠金取引、投資信託などをはじめとするさまざまな金融商品を一般の国民も手軽に売買することができるようになり、貯蓄から投資への切り替えが急速に進んでいます。

弱い立場の投資家を保護することも難しい

いっぽうで我が国では長らく定期預金や定額貯金を通じた貯蓄が家庭のなかでの余剰資金を運用するための唯一の方法のようにみられていたこともあって、投資のルールを知らずに安易に手を出してしまった結果、生活にも支障をもたらすほどの損害を抱えるケースも出てきました。
またさまざまな金融商品や金融サービスを取り扱う金融機関などへの規制や監督のしくみも十分ではない状況のなかでは、このような弱い立場の投資家を保護することも難しいのが実際のところです。
こうした状況を踏まえて、従来の証券取引法を時代のニーズをあったかたちに再構成したものが金融商品取引法です。

投資的な性格が強い金融商品に対する投資者保護法制の構築

金融商品取引法の内容にはいくつかの柱がありますが、なかでも重要なものが、投資的な性格が強い金融商品に対する投資者保護法制の構築です。
たとえば証券会社などが顧客に金融商品を販売・勧誘するにあたっては、顧客の知識・経験や資産状況、契約の目的などに照らして適切に対応すること、重要事項を記載した書面を事前に交付すること、虚偽や不確実な内容を告げて勧誘しないことなどが求められています。
自社の金融商品をインターネットや紙面で広告するにあたっても、事業者名や登録番号、その他取引上のリスクに関する事項などの重要事項を明示するとともに、利益の見込みについて事実に反したり、誤認させたりするような表示は禁止されました。
反面において、投資家といっても巨大マネーを取り扱う機関投資家と零細な個人投資家とを一律の条文で規制することには問題が多いことから、投資家の能力などに応じて規制の内容を柔軟にするしくみも設けられています。

開示制度や取引所の自主規制制度の改革

ほかに開示制度や取引所の自主規制制度の改革についても、この法律の柱として掲げられています。
これには四半期開示を法定化したり、財務報告について企業のコンプライアンスを確保すること、取引所の独立性を重んじて売買審査や上場審査の機能の強化を図ることなどがあります。
一見すると金融商品を購入する側の顧客には直接的な関連がないようですが、契約している証券会社などの内部運営に問題があれば商品やサービスにも影響が及ぶのは必至です。
さまざまな金融商品が市場を通じて取引されていることを考えても、取引所自体にも高い信頼性が求められますので、やはり法律の柱とするにはふさわしい内容といえるでしょう。
なお外貨預金やデリバティブ預金、外貨建て保険などは銀行法や保険業法によって規制されている預金や保険のなかまですが、途中解約をしたり満期を迎えたりした場合に、元本を下回る可能性があります。

まとめ

一般的な預金や保険の感覚で契約をしてしまうと、利用者が不利になってしまうおそれがありますので、これらの金融商品の販売や勧誘にあたって、金融商品取引法と同等のルールを横断的に整備することとしています。

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